光のプレーン
4:遭遇
宮殿は、いやに静かだった。4人は広い中庭を抜けてレーミッツ宮殿に進入した。ところどころにモンスターが黒こげになって倒れていたのを見た。だが、エニグマの姿はなかった・・・。
「よぉーし、行くぜ!」
キルシュが張り切って進もうとしたところ。
「それまでだ!」
突如、後方から制止する声が響いた。振り返ると、昨日見たあの三人組。ワクティ村の村長(自称)たちだ。
「ここから先はエニグマの住む領域だ。昨日も言ったが、やつらは我々が退治する。お前たちにはここで引き返してもらおう」
「でも〜・・・」とアランシア。「・・・ムスコさん達が戦うの〜?」
「やつらをみくびるな。到底、お前たちだけでかなう相手ではない」
「・・・でも、それなら」フレイアが言う。「いっそ、協力して戦った方がいいんじゃないの?」
「そうだぜ、ここは手を組んでいこうぜ。どっちにしたって、ヤツラとは戦わないといけないんだ」キルシュも同意。
村長(自称)・・トルティーヤはしばらく黙っていた。その沈黙に耐えかねてか、とりまきが口を開く。
「ムスコさん・・・・あっしも、ここは協力したほうがいいと思うでやんす」
「・・・・・・・」
「これでも愛の大使のはしくれ、ムスコさんのお気持ちはよーくわかります。でも、ここは・・・」
「・・・・だがしかし・・・・・・」
「ムスコさんは、みなさんを心配してるんでやんす」ノッポがこちらに向き直った。「エニグマと戦うなんて危険なメに、みなさんを遭わせたくないんでやんす! だから、ずっと退治する退治するって・・・でも、愛の大使は戦いなんかしたくないんでやんす。あっしらも、ムスコさんも、・・・・・・」
「もういい」トルティーヤがそれを制した。「・・・もうお前たちを止めはしない。行きたければ、行くといい」
「ムスコさん・・・・・」
トルティーヤは背中を向けた。
「・・・じゃ、お言葉に甘えるぜ」
「・・・・・・・・・」
フレイア達はゆっくりと宮殿に進入する。それを、トルティーヤは背中で見送った。
「・・・・しかし、レモン達はどこにいったんだか」
宮殿内には、モンスターも結構住んでいた。ワクティ村で聞いた話によれば、モンスターは光のプレーンでは洞窟みたいな閉鎖空間にのみ生息しているのだという。光に包まれているとはいえ、この宮殿もいわゆる閉鎖空間にあたるらしかった。
そして、宮殿内にはそのモンスター達があちらこちらで黒こげになって倒れているのだ。
「・・・・・・・これって、やっぱり・・・・」
「・・・・・・・・・・」
レモンは雷の使い手。彼女の性格からして、こういった場所で魔法乱用しながら暴れまわっていると考えられるが・・・・・
「・・恐ろしいお姉さんだっぴ」
「言うな! どこで聞いてるかもわかんねぇだろがっ!!」
「探してるんだから、そのほーが都合いいんじゃないの?」
フレイアの発言に大きく頭を振るキルシュ。
「それとこれとは別問題だぜ!」
「レモン、容赦ないもんね〜」とアランシア。
バチッ・・
「!!?」
「まだいたかっ! フラッシャーーーーーーーーーーーーッ!!!」
バリバリバリバリッ
「ぎゃーーーーーーーーーっ!!」
突如、彼らを激しい雷が襲い掛かった。倒れ付す一行。
「一体、何匹いるんだ! まったく・・・・・って・・・」
曲がり角からイライラ気味に現れた猫族の少女は、その状態を見て愕然とした。
「あっ・・・・・・・・・もしかして・・・・・・」
「・・・・ひどいっぴ・・・・ガク」
「きゃーーーーーー! やっちまったぁ!」
レモンは頭を抱えて叫んだ。・・・しかしその声は空しく響き渡るだけであった・・・。
レモン達は、逃げ去ったカフェオレを追いかけて、このレーミッツ宮殿にやってきた。
このあたりを見回っているワクティ村の愛の大使も、機械が走り去っていったのを目撃している。
さらに、西側は機械を改造したりするのがすきな、ドワーフ族のテリトリーでもある。
そして、この宮殿にはエニグマが住み着いている。だが、それでも行かなければ。
「・・・でも、エニグマが現れたのさ」
海岸に現れたのとは、全く形状の違うエニグマ。ただ、強いということだけは漠然と感じた。
だから、レモンは同行していたブルーベリーとペシュを逃がして、オトリになったという。
「危険なことを・・・」
「あの子達を守りつつ戦えるとは思えなかったからね。安全策さ」
どうにかしびれも取れ、一行は宮殿の一室で休息を取っていた。
「でも・・・逆に見失ってしまってね。とりあえず、待ち合わせてる宮殿の入り口に行こうと思ったんだけど」
「ブルーベリー達は入り口にはいなかったぜ」
「・・・・・・まだ逃げてるのかしら・・・。まさか、エニグマに見つかった、なんてことは・・・」
「・・・・・・・・・・・」
どのみち、エニグマとの戦いは避けられそうにないようだ。
ブルーベリーとペシュをまずは探さなければ。
「・・・地下・・」
「え? フレイア、何か言った?」
「・・・・・・なんとなくだけど、地下の方探してみない?」
「地下か・・・」とレモン。
「そうだな、とりあえず探してみようぜ。ここにいたって始まらないだろ?」
「そうだね」
彼女を守護する精霊ルクスは言った。
地下に、彼女達の守護精霊の気配がある。しかし、同時に闇もまた存在する・・・と。
戦いは避けられない。
光と闇は、特別な位置づけになる。他の精霊よりも上位という形になるのだ。
精霊が存在する属性は、光と闇を合わせて16種類ある。
光と闇は、愛属性を除く13属性に対して有利な存在である(有利とは、例えば魔法使い同士が争う際に、有利側の属性は不利側の属性の魔法に、絶対的に強い傾向がある。もっとも、実際の強弱は魔法使い自身の実力も大きく左右する)。
13属性は、それぞれに強弱関係があり、それをつなげると一つの輪を形成することから、
この13属性を総称して精霊リングと呼んでいる。
火は風に強く、風は毒に強く、毒は美に強く、美は刃に強く、刃は音に強く、音は石に強く、石は虫に強く、虫は木に強く、木は獣に強く、獣は水に強く、水は雷に強く、雷は古に強く、古は火に強い。
クラスメイト達(に限らず、魔法使い全体)はその多くが13属性を守護に持っている。
先天的に、闇に弱い存在なのである。勿論実力によってくつがえすことも出来るだろうが、出来なければ・・・・・
闇に強い存在・・光である自分が頑張らないと、大変なことになるかもしれない・・・少なからず、フレイアはそう感じていた。
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