光のプレーン
2:ある男の憂鬱
彼が気づいたのも、やや平坦な森の中だった。やたらと文鳥が飛び交う森の中で、彼は光のプレーンに来たと知った。さてこれからどうしようかと思案し始めたところに、向こうから見覚えある一団がやってきた。丁度いい。向こうも、こちらを見たようだ。
猫族の少女を筆頭に、青い髪の少女、愛の大使族の少女、古代機械。まず声をあげたのは、愛の大使族の少女だった。
「見て下さいですの! 魔バスがいますの!!」
気づいた! 彼・・魔バスの運転手バルサミコは大声を張り上げた。
「うおーーーい!! いいところに来た!!」
4人は魔バスに近づいた。レモンとブルーベリー、ペシュにカフェオレだ。
「なんでまた魔バスまで、こんなとこに・・・・」呆れ顔のレモン。
「エニグマが連れてきたの?」とブルーベリー。
「ま、カフェオレも連れてこられるくらいだしねぇ・・・生き物だろうと何だろうと、関係ないんでしょうね」
「なぁ、カフェオレ!」バルサミコはバスの中から呼びかけた。「ちこ〜〜〜っと、協力してくれや。お前が頼りなんだ!!」
「オレニデキルコトナラ、テツダイマショウヤ。ナンデモイッテクレイ!」
「解剖させてくれ」
カフェオレはダッシュで逃げた!!
「ああっ! 逃げんなっ!! マジで困ってんだよぉ!!」
逃げ去るカフェオレを見送る女子たち。
「・・・そりゃ、逃げるわね」
「解剖とは、穏やかじゃないですの! 一体、何するつもりなんですの!?」
「いや、な・・・。こっちに来たショックで、魔バスが壊れちまったんだな、がははははは!!」
「・・・いや、それ、笑い事じゃないだろ・・・・」頭を抱えるレモン。
魔バスは、魔法の力で動くバス。魔法の力で、プレーン間移動も出来るのである。つまり、魔バスを利用すれば、もとの世界・・物質プレーンに戻ることが出来るのだ。
「なるほど、それでカフェオレの部品を修理に利用しようとしたワケね」とブルーベリー。「・・・でも、解剖って・・・・・」
「なら、こうしちゃいられませんの! カフェオレちゃんを探しますの!!」とペシュ。
「頼むぜ、俺はここで待ってるからよ」
そんな一連のやりとりの後、レモン達はカフェオレが逃亡した方・・南へと出発した。
さて、あとはレモン達がカフェオレを連れ帰ってくるのを待つだけだ。もし近くに人の住む村でもあるなら、ちょいと一杯・・・・と、しばらくしたら、先程レモン達が現れた方向から、別の一団がやってきた。見覚えがない。近くに村があるのだろうか。しかし、変テコな外見の種族だ。アレは、愛の大使族だ。小柄なのが一人と、ノッポとデブが一人。計3人。
「ああっ! あれはなんでやんすか!?」
こちらに気づいたようだ(そりゃ気づくわな、バスがあるんだから)。
「むむ・・・」小柄なのが唸った。「もしかしたら、ヤツらの仲間かもしれん。ひっとらえるぞ!」
おいおい、マジかよ? 何のことやらわからずに捕まってたまるもんか。
「おい! 中にいるヤツ! 出て来い!! 貴様、エニグマの仲間だろう!!」
はぁ!? おいおい、そりゃおかどちがいってもんだ。
「うるせぇんだよ! こちとら、ここから動けずに困ってんだ!」
「貴様、何者だ!!」
どう答えたらよいものだろう? 果たして、相手がどんなやつらかもわからないのに、迂闊なことを言おうものなら、より面倒なことになりかねない。
「一つだけ言っとくが、俺様はエニグマなんかとは無関係だ! わかったらさっさとどっか行け!!」
「おい! 出てきて話をしろ。卑怯者め!!」
「うるせぇ! 動けねぇって言ってんだろがっ!!」
これでは、いつまでたっても問答は終わらない。と、そこへ。
「なんだぁ? なんか騒がしいぜ」
さらに別の一団が現れた。天の助け! わんぱく少年とロングの少女と帽子の少女、そして犬。
「あ〜〜〜!! 魔バスだ〜〜!!」
「本当だっぴ!!」
それらを聞いて、さっきの一団がそちらを見た。
「何者だ? この怪しいやつの仲間か?」
「あの〜、私たち〜」ロングの少女・・アランシアが口を開いた。「変な魔物に追いかけられてるんですけど〜」
「エニグマっていうんだ」少年・・キルシュ。「知ってるか?」
「エニグマ!!」デブが反応する。
「そいつはあっしらにとっても敵!」とノッポ。
「このでかいのは、お前達の仲間か」と小柄なやつ。
「魔バスだっぴ!」
「いいところに来た〜」バルサミコが声をあげる。
「・・・・・・・・・・」
小柄なやつはしばらく思案していた。
「お前達、エニグマに追いかけられていると言ったか。エニグマは、我らの村の平和をおびやかす憎き敵。やつらは、我々が退治する。それまで、あまり外をウロウロしないことだ」
「あなた達は、誰なんですか?」とフレイア。
「よくぞ聞いてくれたでやんす!」デブとノッポが一歩進み出る。「我々はワクティ村の村長親衛隊、タルトとタタン! そ〜し〜て〜! こちらにおわすのが!! 我らがワクティ村の村長の、ムスコさんである!!!」
「ムスコさんではないっ!! 私が村長だっ!!」
「いや、しかし、村長はあなたのお父上のガトー様ですし・・・」
「うるさいっ!! この『村長ワンド』を持つ私が、ワクティ村の村長だっ!!」
「でも、それはムスコさんがガトー様から無理矢理持ち出して・・・・」
「うるさ〜〜〜〜〜いっっ!! 私が村長なんだっ!! 文句を言う奴は父上に言って親衛隊をクビにするぞっ!!」
「そんな無茶苦茶な・・・・・・」
「とにかく!」ムスコさんはキルシュ達に向き直る。「我々の村でヤツらに好き勝手させるわけにはいかん。お前達も、下手に手を出さずに村で大人しくしているといい」
「でも、ムスコさん〜・・・」
「ムスコさんいうなっ!! 私はワクティ村の村長トルティーヤだっ!!」
デブが一言。
「尊重しなさい」
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
村長(自称)の一団は村に見回りに戻り、フレイア達と魔バスが残された。
「いや〜、助かったぜ。エニグマの仲間と間違われてよう。全く、こんなに善良な俺様が、どうしてエニグマの仲間に見えるかねぇ」
「・・・・・・・・・」
とにかく、バルサミコから事の顛末を聞くフレイア達。
「レモン達も無事だったんだね〜」胸をなでおろすアランシア。
「よし! オレ達も後を追うぜ! どっちに行った!?」
「待ってよ、キルシュ。急ぐ気持ちはわかるけど・・・」
フレイアはピスタチオをみやった。疲れからか、眠そうに船をこいでいる姿がある。
「・・・・けどよぉ、早くしないと追いつけないぜ!!」
「キルシュ〜、レモン達はカフェオレを探しに行ったんでしょ〜? だったら、カフェオレを見つけたら、またここに戻って来ると思うな〜」
アランシアの意見ももっとも。
「逆に探し回らない方がいい場合もあるわよね」とフレイア。
「そ〜そ〜」
「ウ〜〜〜ム・・・・」
キルシュは頭を抱える。だがすぐに頭をブンブンと振った。
「考えるのは性に合わねぇ! とりあえず、今日は村に向って、明日追いかけようぜ!」
「・・・そうねぇ・・・」フレイアも同意する。「他のみんなも探さないといけないしね・・・」
「わかった〜。あ〜〜〜、やっと休めるよ〜〜〜・・・・・」
フレイア達は北・・ワクティ村へと歩き始めた。と、
「オレは、どうすりゃいいんだ?」
バルサミコが呟いた。
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