光のプレーン


 10:キード・モンガ 動乱
 キード・モンガの最上階は、混乱のさなかにあった。
闇の魔法を使うドワーフに強襲され、魔法を使えぬ普通のドワーフ達は対抗する術さえ見出せなかった。
魔法を使うドワーフは、ついに最上階の奥・・ドワーフをたばねる親方グレナデンのいる所までやってきた。
多くのドワーフが逃げ腰な中、親方は堂々と相対した。
「おめぇ、ナニモンだ? 何が目的だべ?」
「・・くっくっく・・・・・」
目つきが普通ではなかった。危険な相手。戦闘など縁もゆかりもない彼らにも、コイツは危険だと判断できた。
「フ・・・こんなときのために、コイツをカイゾーしてたんだべ・・・」
グレナデンは、ドワーフ達に合図をした。ドワーフ達は急いで後ろにあった機械を動かし始めた。
カフェオレを。
「目にモノ見せてやるだ! 行くだ、カフェオレ・ZMark2!!」
「オヤカタサン・・・・・・」
そこにいたカフェオレは、気乗りしない風にやってきた。
「コンナトキトハ、ドンナトキナンデスカネェ・・・・」
「おめぇのその高性能っぷりを見せつけて、ビビらせて帰らせるだ!」
「・・・・・・・・・」
「何をごちゃごちゃ言っている・・・」エニグマ=ドワーフがしびれを切らしているようだ。
「シカタナイデスナァ・・・・コウナリャ、オレモキカイデスカラ、ヒトハダヌギマショウカ・・・」
「服なんか着てねぇべ」
「・・・・・・イヤ、コレハ、コトバノアヤ ッテヤツデシテ・・・・・・」
覚悟を決めて、カフェオレはエニグマに向き直った。
「コレデドウダ!」
カフェオレは、胸部のパーツを大きく開いた!! エニグマも警戒する。
「目ん玉かっぽじって、よく見るだ!!」
「ナント! コノ オーブン イッカイデ、グラタン・ケーキ・メダマヤキガ ドウジニヤケチャウ!!
カッキテキ トリプル・オーブンダ!!」


 なんだか気まずい沈黙が流れた。
「・・・・・キイテナイデスゼ、オヤカタサン!!」
「もっとアピールするだ!! 魚もおいしく焼けるだぞ!!」
「・・・トイウカ・・・、サイショカラ、ナンダカ イトガ チガウヨウナキガ・・・・・」
「なんでだべ」
「ホラ、コウイウトキニハ ココカラビームガデテ テキヲタオストカ・・・・・ネ?」
「そんな危険なモン、ここじゃ作らねぇべ」
「ソウデスヨネ・・・・ハァ・・・・」
「・・・いい加減にしろっ、貴様らっ!!」
ついに、堪忍袋の緒が切れ、エニグマ=ドワーフは二人をにらみつけた。
「オレをナメているのか? そんなモノでオレを撃退させようとでもしているのか? 片腹痛いわっ!」
魔法を発動させて、建物の一部を思いっきり破壊する! 爆風で何人ものドワーフがふっとんだ。
やがて煙が収まったあと、そこから見えた外の様子に彼らはようやく事の重大さに気づく。
村は炎に包まれ、ドワーフの姿は全く見えなくなっていた。
「な・・・なんだべ、これは・・・・」
外の様子に、愕然とするグレナデン。
「これより、貴様らは我々の支配下に入るのだ。
ここの機械技術を利用すれば、他のプレーンを制圧する兵器だって作れよう」
「・・・なんだって? ・・・オラ達の技を戦争に使うというだか?」
「こんな辺境で、チマチマと役にも立たないゴミを作るよりも、よほど生産的だろう。
くっくっく・・・安心しろ、貴様らを殺したりはしない。これから、我々のために沢山兵器を作ってもらわねばならんからな・・・・・」
「キサマ・・・・」
こいつを、野放しにはしておけない。倒さないといけない。
しかし、闇魔法を使うエニグマ=ドワーフ相手にどう戦えばいいのか。
逆らうことなど、できはしないのに。
「・・・・オヤカタサン・・・・」
意を決し、カフェオレが前に進み出た。
「ナントカ、ヤッテミマス・・・・。ソノアイダニ、ニゲテクダサイ・・・・・・」
「な! 何ゆってるんだべ!? なんでおめぇがカラダ張ることがあるだ!?」
「・・・・・・チョット、メガ サメタデス・・・・。オレ、カイボー サレルノガイヤデ、ニゲダシテキタデス。
オレガ ガマンスレバ クラスノミンナガ・・・ナカマタチガ モトノセカイニ カエレタカモシレナイデス。
コウカイ シテルデス・・・。ダカラ、セメテ、モウ、ニゲタクナインデス・・・・・」
「おめぇ・・・」
「カフェオレ!!」
ハッと、カフェオレは前を見た。エニグマの、さらに向こう側に仲間達の姿があった。
「ソレは本当かい、カフェオレ?」
「アア、レモンサン・・・・・ウウ、イヤ、モハヤナニモ オッシャラネェデクダセェ。
マバスノブヒンニデモ ナンデモ ナリマサァ。・・・・・ダカラ、タスケテクダサイ、オネガイ」
「よっし、その言葉忘れんなよ、カフェオレ!!」
一行は、目の前の敵を倒すため身構えた。エニグマは、恐ろしい形相でこちらを向いた。
「・・・・しくじったのか・・・・。使えんヤツだな・・・・・。まぁいい、オレがまとめて始末してやる」
正体を現すエニグマ。さっき入り口付近で戦ったエニグマとほぼ同程度。
疲れこそあったが、同じくらいの相手なら戦えないことはなかった。
数刻後、やはりこのエニグマも彼らの前にひれ伏すことになる。


「おめぇ達は恩人だな」
 たくさんの犠牲はあったが、からくも勝利することができた。しかし、村にいたドワーフはほぼ全滅。村も悲惨な状態だ。
せめてもの礼にと、ドワーフ達が食事をごちそうしてくれた。・・・焼け出されたものを使ってのものだが。
「そんな、悪いです・・・・・」
「いーや、ぜひお礼させてくんろ。エニグマを3匹も倒すたぁ、大した英雄達だぁ」
「でも・・・・」
「3匹?」フレイアが怪訝な顔をした。「待って下さい、私達3匹も倒してなんか・・・・」
「・・・・そーいや、塔の入り口のとこと、一番上で・・・・2匹しか戦ってないよ〜」
「またまた謙遜して。村の入り口でエニグマと、ニンゲンが戦ってたのを見たモンがいるだぁよ」
「謙遜って・・・・・本当に知らないです・・」
「どういうことだぁ?」キルシュがフレイアを見る。
「・・・・考えられるのは、私達以外の誰かがここに来て、エニグマと戦った・・・てとこね」
「エニグマと戦えるだけの力がある人間なんて・・・・クラスの誰かかもしれないね」とレモン。
「でも、なんでどこにもいないんだっぴ?」
「・・・・・・・・・」
考えられるのは・・・・エニグマと戦って立ち去ったか、エニグマと融合してしまったか、エニグマにやられてしまったか・・・・・考えて、フレイアは頭を振った。
「おめぇ達の事情は一応知ってるつもりだ。オラ達も応援するだ」
「ありがとうございます・・」
「それで、ちょっと考えがあんだけどよぅ、ちょっとだけカフェオレを貸してくんねぇか?」
「エッ??」カフェオレが思わず親方を見た。
「オラ達、カフェオレを改造してピップルスどもに売りつけちゃろうと考えとったんだべ」
「エッ!!」
「でもよ、事情を聞くとなんだか可哀想になってなぁ。売るのはやめにしただ。
オーブンにはなっちまったけど、まだ改造はできるだ。おめぇ達の役に立つように改造してやるだよ」
「オヤカタサン、イマデモ オレハ ヤクニタッテマスゼ〜・・・・?」
「いいからこっち来るだ」
「アアアアア〜〜〜〜〜〜!!!!!」
ドワーフ達にかつがれて、カフェオレ退場。
「・・・・で、どうする? これから。カフェオレは見つかったけど・・・・」
言ってはみたものの、レモンはもう考えを決めているようだった。
「そりゃ〜・・・」
「行くしかないでしょ。・・・・闇のプレーンへ」




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